マーケティング用語で一般的な「ブランディング」というキーワード。
誰もが聞いたことのあるこの単語の意味は、多くの場合は、
「ターゲットとされる顧客からの共感や信頼を得て、価値を感じてもらうために必要な活動」と認識されるのではないでしょうか。結果、競合との差別化や価格戦略等につながり、最終的には長期に渡って購入を続けてもらえることに繋がります。
近年はこのブランディングという考え方を、自社の採用活動に取り入れる企業が増えてきています。
新卒/中途問わず、採用市場における採用×ブランディングは何をもたらし具体的にどのようなことを指すのでしょうか。
最近の動向を例にとって紐解いていきます。
採用ブランディングがもたらす効果とやるべきこと
採用活動を行う上で組織設計や採用計画はもちろん大切ですが、その後の活動においては、母集団の形成~面接~入社承諾までが実務の多くの割合を占めると思います。
また何よりも入社後の長期に渡っての活躍は必須でしょう。
こうした際に、一つ一つのプロセスにおいてミスマッチが起きている場合、その原因はどこにあるかを分解して、打ち手を打っていく必要があります。
昨今ですと色々な採用手法や、候補者を見極めるための面接時の質問項目などがありますが、もし上記の様にミスマッチが起きている場合は、母集団を形成する最初のタイミングで「本当にターゲットとしている人材に、届けたい情報が届いているか」を見直す必要があります。
その上で、採用ブランディングを有効活用することにより、長期的かつ効率的に採用を行うことができるでしょう。
その為の具体的な戦術は下記に後述してありますが、採用ブランディングを進める上で最初に企業が取り組むべきは、「自社の本当の採用ターゲットはどんな人材であり」「そのターゲットに向けてどのような魅せ方をするべきか」と言うことになります。
この2つが採用ブランディングを始めるにあたっての基礎となります。
採用ターゲット=本当に伝えたい相手であり、魅せ方=他社との差別化すべき内容を表現する方法となります。その魅せ方の例は、たとえば会社の歴史やサービスの強みや特徴、働いている従業員やオフィスの場所、ビジョン、仕事の内容、教育体制、評価/報酬を含めた待遇など様々でしょう。
こうして考えてみると、採用ブランディング=マーケティング手法の活用と言うのは非常に親和性が高いと言えます。
これからの採用ブランディング戦術
今までのマスに向けた大枠の情報発信と異なり、今後は情報発信のプロセスおいて、先ほど述べたようにマーケティング活動の考え方は非常に有効活用ができると言えます。
例えば手法の一つである3Cフレームのように、
「Company=自社の魅力」「Competitor=採用上の競合」「Customer=採用ターゲット」とし、
考えて言葉にしていくことになります。その集合値が、自社における採用上のブランドアイデンティティ(採用上の独自の強み)となります。
それらを創り上げた上で、実際に可能であれば現状は、面接時における候補者とのやりとりや、イベントの際に求職者と接した時に、自分たちがどのように見られているのか、実際に見られ方にギャップがある場合は、今後どのようにしてパーセプションチェンジ=認知の変更をしていくか、を実行していくことになります。
下記の図にあるように、採用ターゲットにおけるブランディング観点からのアプローチ手法は「有料/無料」「オンライン/オフライン」としてまとめてありますが、これら以外にも数多く存在するでしょう。
※赤枠が有料施策、青枠が無料施策
SNSやBlogを通じた情報発信は、近年IT企業を中心に特に多く見受けられますし、自社やイベント会場を借りた勉強会や社員との交流会などの実施は増えてきています。
やはり「直接情報を知ることができる/フランクに会える」と言うことは、双方にとって魅力でしょう。
最後になりますが、これらの「採用ブランディング」は一朝一夕に出来上がるものではありません。成果としても即効性が出にくい場合もあるでしょう。根気よくトライをしながらPDCAを回していくことをお勧めします。その上で、活動するに当たって、目標を持つことも大切です。
例えば「Blogの記事を月に何本書くのか?」「勉強会を何回実施して呼び込むか」などです。
読者の皆様の企業ステージや環境に合わせて、是非とも社内でディスカッションをしてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。