ここ数回、日本企業に勤務する社員が「学歴病」になっていく構造を、社内の人事や仕組みという観点から見てきた。今回は、なぜ会社は人事評価や処遇などに関する本音や事実を社員に伝えないのかについて問題提起し、その背景を探りたい。
筆者の問題意識の1つは、人事評価や処遇などの詳細が本人に正確には伝えられないことが、自分を過大評価し、勘違いした社員を大量に生み出す大きな理由になっているのではないか、ということだ。こうした構造の中では、社外・社内の労働市場でまともな評価を受けていないのに、都合のいいように現実を歪曲し、甘えの空間の中で甘い蜜を吸う人も多数現れる。