人材業界では最近さまざまなオウンドメディアを見かけます。 オウンドメディアとは、企業が自社で所有するメディアのことですが、 企業が消費者に向けて有益な情報を発信するコンテンツマーケティングが流行り始め、注目されています。
人材業界でも多くの企業がオウンドメディアを運営する場合、他メディアとコンテンツ内容が重複したり、集客できなかったりなどの問題で運用が難しいケースも多いのではないでしょうか。
今回は、人材業界のオウンドメディアでも特にコンテンツ力があり拡散されやすいメディアを分析してみました。なぜ選ばれるサイトになるのか?ぜひ参考にしてみてください!
※紹介に出てくる予想PVはSimilar Webを使った結果です。
リクナビNEXT JOURNAL
http://next.rikunabi.com/journal/
「リクナビNEXT」が運営する、キャリアやビジネスに関するニュース・コラムサイト。はてなが運営する企業向けオウンドメディア構築ツール、「はてなブログmedia」を利用し、コンテンツマーケティングを展開しています。
2014年5月から運営が開始されたリクナビNEXT JOURNALは、予想PVは月間500万ほどで、爆発的なヒットメディアとなっています。
キャリアについて有益な情報を届ける言わば「真面目系コンテンツ」と、はてなブロガーを巻き込んでヒットを狙う「バズり系」のコンテンツが両立している独自の展開を見せています。
「真面目系コンテンツ」で言えば、話題の人物へのインタビューやなど、幅広いビジネストレンドを扱った記事を中心に揃えており、アンテナ性の高さを感じます。「バズり系」では、はてなブロガーからの寄稿を利用し、編集者が行うようなインタビュー記事とは違った、主観性を持った記事が人気コンテンツになるようです。
はてブが多くつくことによって、複数のメディアやまとめサイトにも引用されリンクを獲得し、結果ドメインの強化につながっていると思われます。
リクナビNEXTはエンジニア向けのキャリアメディア、Tech総研も運営しており、こちらも大人気のサイトとなっています。
CAREER HACK
http://careerhack.en-japan.com/
2012年の6月に創刊され、エンジニアやデザイナー、プランナーやディレクターのためのキャリア情報メディア。「エン・ジャパン」が運営しており、予想PVは月間240万PVです。
業界をリードする著名人のキャリア観をテーマにインタビューが掲載され、読者のキャリア構築の支援となるような内容になっています。
SimilarWebで分析すると、検索からの流入が多いようで、業界の著名人を検索ワードとしてメディアに行き着くことが多いことが考えられます。 結果的にそれらの著名人を検索するような、Web・IT業界で意識の高い方々が、本業の求人サイトへの認知や集客につながっていると予想されます。
Web・IT業界とも相性の良いはてなブックマークの人気エントリにも登場することが多く、ここからの流入も多そうです。
2014年10月にはデザインが一新しており、カテゴリ分けやタグ付けがわかりやすいものになっています。また、TOP画面で、これまでテキストリンクだったFacebookも、Like boxが設置されたことから、メディア内でFacebookにいいね!できるようになっています。いいね!がつくと、ファンになってもらった人のFacebookのタイムライン上に自社の投稿が表示されやすくなることから、Facebookからの流入に大きな効果があったかもしれません。現在は10,000いいね!を超えています。
日刊キャリアトレック
https://www.careertrek.com/daily/
ビズリーチが運営するレコメンド型求人サービス、「キャリアトレック」のオウンドメディア。 ミクシィ・リクルートメントが運営するFind job! Startupの立ち上げに携わった「仁田坂 淳史」氏が編集長で、企画・運営に携わっています。
↓仁田坂さんが日刊キャリアトレックの編集長になった経緯が記載されていました。
「Find job! Startup」のmixiを退職して起業しました
http://blog.nitasaka.com/mixi-to-zine/
さて、日刊キャリアトレックは、メディアコピーである「20代の将来をどうにかするフカボリ情報マガジン」とあるように、記事は、「仕事術」や「お金」、「恋愛」などまさに20代の「気になる」ツボを突く情報が満載です。
今年2015年の3月の開設から1ヶ月半で30万PVを突破するなど、出だしの集客は凄まじいようです。Facebookのシェアやはてブも多く、拡散力があります。現在の予想PVは月間50万PV。
また、記事タイトルをみてみると、「うメエエエ!羊好きが思わず唸るラム肉の名店8選」や「【裏技】知らない人は損してるなあと思う豆知識49」のように、数字を多く使う傾向にあるようです。タイトルに具体的な数値が入っていると、反応率が上がると言われているため、タイトル作りもこだわっているようです。
日刊キャリアトレック本体には「キャリアトレック」本体へのリンクは見当たらず、サービスとメディアのそれぞれのデザインのタイプが異なっています。
「キャリアトレック」本体への流入を目的とするよりはどちらかというと幅広いターゲットに認知を獲得するためのメディアなのではないかと考えられます。
ジモコロ
http://www.e-aidem.com/ch/jimocoro/
イーアイデムの「地元」と「仕事」をテーマにしたメディアで地元求人に強いイーアイデムならではのオウンドメディア。
イーアイデムの地元での新しい働き方を提案したプロジェクト、「地元ルネサンス・仕事ルネサンス」の一環として、「ジモコロ」がオープンしたようです。
運営は、Webコンテンツの制作や運営・執筆を行うバーグハンバーグバーグ。 運用はリクナビジャーナルと同様、企業向けオウンドメディア構築ツールの
「はてなブログmedia」を使っているようです。
3ヶ月でのPVは約120万と好調なスタートで、すでにヒット記事も多数あり、多くシェアされている状態です。現在は予想PVが51万。
「【大阪の日本一】たこ焼きにキムチ味!? 攻め過ぎたラムネ屋で世界一のラムネを飲んできたや、「足立区綾瀬のピラミッドを探検していたら意外な場所にたどりついた話」のような「地元」という本業との関連性の高いバイラル系記事は、より広いターゲット層へのアプローチに貢献するのではないでしょうか。
記事の個別ページの下部には必ずイーアイデムへの流入を促すバナーもあり、コピーもマーケティング色が強くなく、メディアの雰囲気にマッチしているので、気軽に押したくなります。
メディア運営の様子は下記の記事が参考になります。
▼オウンドメディアは“熱”で加速する! 約3ヶ月半「ジモコロ」を運営した結果
http://www.e-aidem.com/ch/jimocoro/entry/kakijiro003
エンジニアtype
IT系に強い「@type」のオウンドメディアで、IT・Web・ハード系エンジニアを対象にニュースやスキルアップに役立つ情報、技術的なノウハウを提供しています。
コンテンツの約7割はインタビュー、その他はエンジニアによる寄稿が中心です。また、求人情報もサイドバーに掲載していることから、本業との関連性が高いコンテンツになっています。
そのため、自社の転職サイトページへの送客がコンバージョンポイントの一つだと予想され、メイン事業とのシナジーを生むメディア運営となっていると考えられます。また、同時にメディアとしても独立しており、イベントや広告事業なども展開しているようです。
デザインに触れると、少し前まではサイドバーにびっしり自社サービスの画像付きバナーがありましたが、現在はテキストリンクのみになっていることから、シンプルにしたことでメディアの全体のデザインがスッキリ見やすくなりました。
コンテンツマーケティング黎明期から運営されており、そのノウハウの蓄積がコンテンツ力にあらわれているように思います。東洋経済オンラインやYahooニュースへのコンテンツ提供も行っており、幅広い読者層へのリーチが可能だと考えられます。
今年2015年4月から新たにリリースされた「月刊エンジニアtype」は、見せ方を工夫した特集記事が好奇心をそそられます。
▼月間エンジニアtype
http://engineer.typemag.jp/monthly/201504/?prt
EMMARY
「an」が展開するオウンドメディア、「EMMARY」。 女子高生をターゲットとするメディアは人材業界には「EMMARY」くらいではないでしょうか。
女子高生に大人気のモデル「藤田ニコル」さんを編集長に選定。藤田さんをanのフリーペーパーの表紙やanのキャラクター「アンドーくん」とコラボすることで、話題性は抜群です。
今年2015年6月からスタートした「EMMARY」は予想されるPVは月間60万ほどで、twitterのフォロワー数が業界のオウンドメディアとしてはトップクラス。
Twitter上にモデルたちと交流できる場を作ったことがフォロワー数をふやすきっかけになったのだと考えられます。 このあたりが上記で紹介したメディアと異なり、Twitterを使ってのプレゼントキャンペーンの告知やYouTubeを使ってのメディア告知は、ターゲットである女子高生に届きやすい施策と言えます。
本業とは異なった可愛らしいデザインやコンテンツ展開ですが、エンゲージメント向上に期待できます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。オウンドメディア成功のコツはやはりコンテンツにあるようですが、ただコンテンツを量産しても効果は少ないと思われます。
どのターゲットにリーチさせたいのか、どれくらいのアクセスを稼ぎたいのか、目的や戦略が何なのかを考え抜いた上で、それぞれに適したコンテンツを作らなければなりません。そのためにはまず自社を知り、他社を知ることから、です。HRogでも引き続き、業界のオウンドメディアをしっかりと追っていきたいと思います!
↓ご紹介したメディアのサマリーも作ってみました。
サイト名 | リクナビNEXT JOURNAL | CAREER HACK | 日刊キャリアトレック | ジモコロ | エンジニアtype | EMMARY |
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キャッチコピー | キャリアとビジネスのニュース・コラムサイト | WEB・IT業界で働く人々の人生を少し豊にするメディア | 20代の将来をどうにかするフカボリ情報マガジン | どこでも地元メディア | 旬の技術屋インタビュー・サイト | JKが発信するJKのためのWEBマガジン |
運営元 | リクルートキャリア | エン・ジャパン | ビズリーチ | アイデム | キャリアデザインセンター | インテリジェンス |
創刊 | 2014年5月 | 2012年6月 | 2015年3月 | 2015年5月 | 2011年4月 | 2015年6月 |
ターゲット | ビジネスマン全般 | WEB・IT業界のエンジニア・ディレクター・デザイナー | 20代の若手ビジネスマン | 地元愛 | WEB・IT・ハード系エンジニア | JK |
コンテンツ | キャリア ビジネストレンド スキル・ノウハウ ライフ |
キャリア ライフ イベントレポート ノウハウ まとめ トレンド |
仕事術 恋愛 コミュ力 運 カネ 人生 |
ジモコロ じもwww 仕事ルネサンス 演劇プロジェクト |
キーパーソン 旬ネタ コラボ ノウハウ 女子部 キャリア |
恋愛 ビューティー イケメン/カワイイ グルメ バイト イベント エンタメ |
予想PV | 500万 | 240万 | 50万 | 51万 | 55万 | 60万 |
編集長 | ー | ー | 仁田坂 淳史 | ー | 伊藤 健吾 | 藤田ニコル |
制作体制 | 編集部 + はてなブロガー | 編集部 | ー | バーグハンバーグ | ー | JK編集部 |
概要 | キャリア・スキルアップについてのニュース・コラムという「真面目系コンテンツ」と、はてなブロガーを巻き込んでヒットを狙う「バズり系」のコンテンツの両立で、幅広い層にリーチ。 | メインコンテンツは、業界をリードする著名人のインタビューで、読者のキャリア構築を支援。サイドバーには求人情報も掲載されており、転職をサポート。 | 記事は、キャリアやスキルアップだけではなく、「恋愛」や「カネ」など、ターゲットである20代を意識した幅広い内容で構成。キャリアトレックへのリンクはなく、メディアとして独立。 | 「地元ルネサンス」の一環としてオープン。地方取材を前提とした【特集】と【連載】の2つのコンテンツに分かれ、人気の記事の7割が地方題材の特集記事。 | IT・Web・ハード系エンジニアを対象にニュースやスキルアップに役立つ情報、技術的なノウハウを提供しています。コンテンツの約7割はインタビュー、その他はエンジニアによる寄稿が中心と見られます。 | 女子高生に大人気のモデル「藤田ニコル」さんを編集長に任命した、キャリアメディアとしては異色のサイト。twitterのフォロワー数は、業界トップクラス。 |