12月13日。「和民」の過労自殺の「和解」から5日後のこの日、新宿の街を進むデモ隊を先導するサウンドカーの上で、女性がマイクを握りしめ、声を張り上げた。
「不幸比べも我慢大会も、もういい加減、終わりにしませんか? もう十分だろ? おかしいことはおかしいって言っていいだろ? 『オニギリが食べたい』って言って餓死する人のいる社会が、過労死するまで働くか自殺するしかない社会が、『仕方ない』わけないだろ? 人が死んで、電車が止まって舌打ちするだけのくせに、『仕方ない』なんて簡単に言わないでよ!」
マイクを握るのは、印刷会社に勤務する藤川里恵さん。最近、彼女は弟から電話をもらったという。「自衛隊の1次試験に受かったけん。次も受かるかもしれん」。そんなエピソードを話したあと、彼女は続けた。
「就職したって、手取り14万じゃ奨学金返して、好きな人や友達ともいられない。子どもなんて育てられないよ。そんなの見ていた弟は、大学行くのに、教育ローンと奨学金で1000万超えるか、それとも自衛隊で大学行くか、そりゃ迷うよ。