場所や時間を選ばない柔軟な働き方「テレワーク」が、今、再びスポットライトを浴びつつある。
通信技術の発達とともに、テレワークの考え方は1970年代のアメリカ西海岸から生まれた。日本では、バブル期に高騰する都心オフィスコストの抑制策としてその萌芽が見られたものの、バブルの崩壊とともに退潮していく。当時の通信環境を考えれば、やむを得ない面があっただろう。
2000年前後からノートPCの普及が進み外出先で仕事をする姿も多く見られるようになった。にもかかわらず、企業、とりわけ大企業が従業員に対してテレワークを推奨する機運は高まらなかった。それらの企業があらためてテレワークと向き合うのは、あの東日本大震災以降のことである。災害時のリスク分散の必要性を痛感させられたのだ。
さらに5年経った今、テレワークの意義はますます大きくなった。それは、企業の災害時のリスク分散ばかりでなく、少子高齢化や経済の沈滞など、日本が抱える諸問題解決への大きな助けとなる可能性をテレワークが秘めているからにほかならない。通信技術の進化もまた、テレワークの導入を後押しする。